心のバリアフリーについて

先日、朝のテレビ番組で、ル・クプルのボーカリストだった藤田恵美さんが大ヒット曲の『ひだまりの詩』を歌われましたが、その折、『心のバリアフリー音楽会』を藤田さんが定期的に開いていることが紹介されました。

「音楽と手話を通して一つになろう」という音楽会だそうですが、『心のバリアフリー』と私が口にすると硬い印象があるのですが、藤田さんが口にされるととても穏やかで柔らかな響きで伝わってきました。

『心のバリアフリー』はここぞとばかりに身構えるのではなく、温かな心と、自然な姿勢で臨めるようになってこそと、改めて感じさせられました。

さて、その『心のバリアフリー』について、少し整理をしておきたいと思います。

『バリアフリー』は、もともとは障害などのある人が社会生活をしていく上で「バリア(障壁)」となるものを「フリー(除く)」にするという物理的な障壁の除去という意味の建築用語だったそうですが、現在では、障害のある人だけでな く、全ての人の社会参加を困難にしている全ての分野での障壁の除去という意味で用いられるようになってきました。

わが国では、1993年の「障害者対策に関する新長期計画」及び1995年の「障害者白書」において、障害者が社会生活を送る上での4つの除去すべき障壁 が指摘されました。

この4つの障壁とは、以下のように記されています。

1.歩道の段差、車椅子使用者の通行を妨げる障害物、乗降口や出入口の段差等の物理的な障壁
2.障害があることを理由に資格・免許等の付与を制限する等の制度的な障壁
3.音声案内、点字、手話通訳、字幕放送、分かりやすい表示の欠如などによる文化・情報面での障壁
4.心ない言葉や視線、障害者を庇護されるべき存在としてとらえられる等の意識上の障壁(心の壁=心のバリア)

4.の心のバリアは、無知と無関心による偏見と差別の障害者観、或いは哀れみや同情の障害者観を伴っていましたが、ノーマライゼーション理念や内閣府が提唱する「共生社会」の視点の浸透などにより、『心のバリアフリー』として、高齢者や障害者への理解、配慮、思いやり、気軽な声掛け、支援等の重要性が認識されるようになってきました。

平成18年12月20日に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」では、この『心のバリアフリー』を深めていくことを国の責務として定めるとともに、国民の責務としても新たに位置づけられました。

高齢者や障害者などが円滑に移動し施設を利用できるようにすることへの協力 だけではなく、高齢者や障害者などの自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性についての理解を深めることが、国民の責務として定められたのです。

<参考-簡単な用語説明>
◇ノーマライゼーション
北欧から世界へ広まった障害者福祉の重要な理念で、障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルであるという考え方。

◇内閣府の提唱する「共生社会」
多様な個人が能力を発揮しつつ、自立して共に社会に参加し、支え合う社会。
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◇バリアフリーとユニバーサルデザイン
バリアフリーはもともとあったバリア(障壁)を事後的に取り除く考え方のことであり、ユニバーサルデザインは事前の対策として、性別や年齢、ハンディの有無に関わらず、全ての人にとって安全で快適、使いやすいことを目指す考え方のことです。

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