現在私どもはANAグループの心のバリアフリー教育について、ANAと業務基本契約を締結し、社員研修を行っています。心のバリアフリーを深めていくことは、平成18年12月20日から施行された『バリアフリー新法』(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)で、国及び国民の責務として定められました。
当社のカリキュラムでは、共感をキーワードにマインド面を重視しつつ、適切なお手伝いとは、を考え実践に至る構成にしています。
アメリカから平成21年5月13日から、アメリカのACAA(Air Carrier Access Act=航空アクセス法)の 14 CFR Part382の一連の条項が、米国内に乗り入れる外国の航空会社にも適用されることになりました。
この法令は、航空を利用する旅客への接遇について、障害を理由に差別しないこと、航空機、その他の関連施設、提供されるサービスを障害者にもアクセス可能にすること等を求めており、これまでは自国の航空会社のみへの適用でした。
DOT(米国運輸省)公式サイトより
https://www.transportation.gov/airconsumer
この適用により、下記のサイトが設けられています。
ANA
JAL
EUからまた、EUからも同様の内容を持つ PRM EU-Regulation NO.1107/2006 という法令を遵守するよう、要請があったそうです。
PRM=People with reduced mobility
EU公式サイトより
http://ec.europa.eu/transport/passengers/air/prm_en.htm
日本では我が国でも、既に国土交通省が心のバリアフリーの学習プログラムを提供していましたが、それらを再確認しつつ、欧米の法令の動きにも沿うことになりました。
国交省公式サイトより
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html
国連ではもちろん、平成20年5月に発効した国連の障害者権利条約も認識する必要があります。
国連公式サイトより
https://www.un.org/development/desa/disabilities/
ANA研修の今とこれからANAグループでは、接遇部門を中心として、ACAA Part382条項の法令学習に取り組みつつ、空港並びに航空機を利用する障害のあるお客様への接遇及びスキル研修を当社に委託することを決めました。
これまでに当社では、ANAグループのエアージャパン、エアーニッポンネットワークの社員の皆様と心のバリアフリー研修を行なってまいりましたが、今回あらためて当社のカリキュラムは米国及びEUのレギュレーションにも適合しているとの評価を頂きました。
昨年の秋からはANA空港部門の、今年の6月からは客室部門のインストラクター養成研修を受託し、部門毎にカスタマイズしたカリキュラムで研修を実施しています。
厳しい経営環境の中でも、大切な課題として取り組むANAのスタッフの皆様のご努力で、これまでに国内51空港、海外24空港から参加したインストラクタースタッフの養成研修が実現しています。
アメリカの空港からも、EU域内の空港からも、接遇担当のインストラクタースタッフがお見えになり、熱心に受講してくださいました。
今後は障害者団体の皆様を始め、各方面の皆様のご協力もいただき、知識面、マインド面、スキル面に亘って、カリキュラムを一層深めてまいりたいと考えております。
交通バリアフリー法からバリアフリー新法に至る大切な意義を見つめ、ノーマライゼーション理念を理解し、インクルージョンの実践へ向けて、各空港の中でこの取り組みを広げていただけるよう、そして空港からさらに地域へとその輪が広がるよう、力を合わせたいと思います。
(平成21年11月29日 鴨志田)